《九月四日》からあげと書いて唐揚初嵐

掃除や洗濯などに励む。
昭和十七年九月四日の虚子句日記は「家庭俳句会。小石川植物園」「秋の蚊にくはるゝ足を運びけり」。ようするに蚊に刺されたというだけだが、「くはるゝ足を運びけり」というと、蚊に喰われながら句作の歩を運ぶ様子がわかる。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 9月15日:藤の実のほのと毛深し人に垂れ
  • 9月14日:秋風や骸も混じる団子虫
  • 9月13日:頭尖るバツタやかなしさうに這ふ
  • 9月12日:秋蒔や汗の帽子を風に脱ぎ
  • 9月11日:秋晴の蝶々のただ集まれる
  • 9月10日:秋の夜の古く明るきレストラン
  • 9月9日:秋風や噛みてうれしき佐渡の米
  • 9月8日:秋桜断種の猫に日があたり
  • 9月7日:仁丹のやうなピアスや月を仰ぐ
  • 9月6日:歯科の中見えてつくつく法師かな
  • 9月5日:新涼やパジヤマを干して雲白く
  • 9月4日:からあげと書いて唐揚初嵐
  • 9月3日:阿佐谷は夜も明るし桃を売る
  • 9月2日:病む人の名札それぞれ蚯蚓鳴く
  • 9月1日:美しきまま虫籠の古びたる

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ふらんす堂編集日記