2023年 第14回 田中裕明賞

受賞者の言葉

岩田 奎(いわた・けい)

1999年京都生。
「群青」所属、俳人協会会員。
2015年、開成高校俳句部にて作句開始。
2018年、第10回石田波郷新人賞。
2019年、第6回俳人協会新鋭評論賞。
2020年、第66回角川俳句賞。

 

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(まえ)
京都に、東京に、豊岡に、鳥取に、数多の旅先に。
自分を育ててくれたすべての場所や出会いに心から感謝する。
(いま)
句集は自分の成長の記録であると捉えた。
いまの自分は抒情というものがなべて気に入らないが、初学のころのそういう句も気に入らないなりに記録と割りきって残すことにした。
いうなれば蒸溜ではなくて醸造という方法によることで、迷いや甘さも含めて真に私の血を分けた本になったように思う。
選者の先生方には思いきりの悪い分身を評価していただきうれしい限りである。
(あと)
ある程度悧巧な子供にはなりおおせたと思うので、次は狷介な老人を目指してゆきたい。