
《八月二十六日》風立ちぬ立面図には海の青
洗濯機がぐるぐる回っている音を聞いていると、どうも列車を思い出す。寝台特急とかじゃなく、もっと地味な、田舎の各駅停車。窓の外を流れる景色と、車内に漂ううすぼんやりした眠気。家にいるのに、旅に出ているような気分になる。ときどき水がジャバーッと移動して、あれは峠を越えた音かもしれないと思う。やがてピーピーと鳴った。終点か。でもどこに着いたわけでもない。よいしょっと。わたしは立ち上がって、洗濯物を干す。
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洗濯機がぐるぐる回っている音を聞いていると、どうも列車を思い出す。寝台特急とかじゃなく、もっと地味な、田舎の各駅停車。窓の外を流れる景色と、車内に漂ううすぼんやりした眠気。家にいるのに、旅に出ているような気分になる。ときどき水がジャバーッと移動して、あれは峠を越えた音かもしれないと思う。やがてピーピーと鳴った。終点か。でもどこに着いたわけでもない。よいしょっと。わたしは立ち上がって、洗濯物を干す。
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