
《十月二十九日》蛇穴に入り革命の夢を見る
昔の口癖をふとつぶやく。顔がむずむずする。懐かしいのか、気恥ずかしいのか、どっちつかずだ。たしかなのは、あの頃のわたしはその口癖を通して世界を見ていたってこと。
口癖にも寿命がある。いまではもう口に合わない。まるで酢になってしまったワインみたいに。それでも時々、それを取り出すように舌にのせて匂いをかぐ。
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昔の口癖をふとつぶやく。顔がむずむずする。懐かしいのか、気恥ずかしいのか、どっちつかずだ。たしかなのは、あの頃のわたしはその口癖を通して世界を見ていたってこと。
口癖にも寿命がある。いまではもう口に合わない。まるで酢になってしまったワインみたいに。それでも時々、それを取り出すように舌にのせて匂いをかぐ。
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