《四月一日》字大だい里りすなはち内だい裏り大内を畏かしこみ大き里を当てしか
小学校の名は門司市立大だい里り柳小学校。都落ちの平氏に擁された安徳幼帝の行かり宮みやの跡という柳の御所に因ちなむ。従って小学校歌一番は「柳の御所の跡旧ふるく/名さへ床ゆかしき大だい里りの地/古き歴史を負ひ持てる/わが学び舎(や)の兄弟(はらから)よ」。大里は内裏、大内裏を憚はばかって大きな里を当てたか。小学生の私たちは負ひ持てるをオイモセズ・・と歌っていた。
著者略歴
高橋睦郎(たかはし・むつお)
昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。
詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。
歌集に『道饗』、『爾比麻久良にひまくら』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)
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