
《四月一日》蜃気楼メニューは深煎りひとつだけ
まえはたしかに、そこに「世界の珈琲」って名前のメニューがあった。
なんだよ世界って。ナベサダかよ。と毎回思いつつ、飲んでいた。
ひさしぶりに行くと、それが「深煎りブレンド」に変わっていた。
味はちがわなかった。ちがわなかったけれど、「世界」が消えたことが、店を出てからじわじわ来た。
こうやって人類は、賢く小さくなっていく。
無断転載・複製禁止
まえはたしかに、そこに「世界の珈琲」って名前のメニューがあった。
なんだよ世界って。ナベサダかよ。と毎回思いつつ、飲んでいた。
ひさしぶりに行くと、それが「深煎りブレンド」に変わっていた。
味はちがわなかった。ちがわなかったけれど、「世界」が消えたことが、店を出てからじわじわ来た。
こうやって人類は、賢く小さくなっていく。
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