
《八月二十四日》砂に書くシェリー一行夏の果
雨が降りそうで降らない日。ベランダのシーツは湿気でふくらみ、まるで内部に小さな雲を飼っているみたいだった。遠くで稲妻が光る。落ちる前に取り込もうかと考えたが、もう少し風の匂いを吸わせてやりたかった。布繊維の隙間に入りこんだ水蒸気分子が、昼と夜の温度差で膨張し、柔らかさを増す――などという理屈を思い浮かべて、結局シーツはそのまま。科学的言い訳という防波堤を立て、雷鳴が一発落ちるまで観察した。
無断転載・複製禁止
雨が降りそうで降らない日。ベランダのシーツは湿気でふくらみ、まるで内部に小さな雲を飼っているみたいだった。遠くで稲妻が光る。落ちる前に取り込もうかと考えたが、もう少し風の匂いを吸わせてやりたかった。布繊維の隙間に入りこんだ水蒸気分子が、昼と夜の温度差で膨張し、柔らかさを増す――などという理屈を思い浮かべて、結局シーツはそのまま。科学的言い訳という防波堤を立て、雷鳴が一発落ちるまで観察した。
無断転載・複製禁止