
《九月二十五日》初雁や型に彫らるる水の紋
朝、牛乳がなかった。ついでにフロッサーもなかった。しかたなくコーヒーだけを淹れて、ぼんやりとカップを見ていたら、夫が台所でごそごそしはじめた。粉ミルクをボウルにあけて、お湯を注ぎ、泡立て器でしゃかしゃか混ぜている。白い泡がふわふわ立って、ちょっと楽しい景色だった。カップに注いで飲んでみる。味は、うーん。けれど、なくてもいいものを、あるものでなんとかしようとする工夫が、少しだけ朝を明るくしてくれた。
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朝、牛乳がなかった。ついでにフロッサーもなかった。しかたなくコーヒーだけを淹れて、ぼんやりとカップを見ていたら、夫が台所でごそごそしはじめた。粉ミルクをボウルにあけて、お湯を注ぎ、泡立て器でしゃかしゃか混ぜている。白い泡がふわふわ立って、ちょっと楽しい景色だった。カップに注いで飲んでみる。味は、うーん。けれど、なくてもいいものを、あるものでなんとかしようとする工夫が、少しだけ朝を明るくしてくれた。
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