「私自身を含めて、誰にだって選句の洩れはあるものだ」と。続いて「そういう句を耳で聞いてすぐ手許の紙に十七字として書きとめる」と一九八六年の「青」六月号で爽波が述べている。最後に「何よりも耳で聞いたものがすぐさま正しく一句として書きとめられないようでは、何の俳句修行かと云いたい」。 耳が痛いところだ。
●季語=螇蚸(秋)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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