《一月九日》海やまのあひだの逗子に移り棲み三十八の年忽ち過ぎぬ
少年期以来諳そらんずるほど読んだ迢空第一歌集『海やまのあひだ』は、迢空折口信夫が広く民俗学探訪の旅をつづけた日本全土をいうのだろうが、私の住む逗子の町も海やまのあいだにある。私の日常の範囲は狭いが、朝夕海辺を歩いたり山道を辿ったり。
著者略歴
高橋睦郎(たかはし・むつお)
昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。
詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。
歌集に『道饗』、『爾比麻久良にひまくら』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)
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