
《四月二十二日》鱗くなっても魚なる春の夜
午後を海で過ごす。
近くにいた少年が、流木で基地をつくりながら、ひとりごとを言う。
「誰か来ても、その人がしゃべらなくてもいいように、家のかたちを考えないと」
あ、そういうこと、わたしも言いそう。そう思った。
でも、わたしはそれを言ったことがない。
潮風が、わたしのやわらかいところを、そっと撫でていく。
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午後を海で過ごす。
近くにいた少年が、流木で基地をつくりながら、ひとりごとを言う。
「誰か来ても、その人がしゃべらなくてもいいように、家のかたちを考えないと」
あ、そういうこと、わたしも言いそう。そう思った。
でも、わたしはそれを言ったことがない。
潮風が、わたしのやわらかいところを、そっと撫でていく。
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