
《八月二十七日》薄紅葉キングの靴の赤きこと
海沿いのベンチで、子どもがアイスを食べている。バニラ。あたりは鳩だらけだ。最初は離れていたのに、コーンをちびちびかじる間に、じりじりと間合いを詰めてくる。十歩、五歩、三歩。人間だったらもう肩を抱かれている距離だ。子どもは知らん顔で、最後のひと口まできっちり自分のものにした。泣きもしないし、鳩を追い払おうともしない。海風の中で、ただひたすら淡々と。たいしたものだ。
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海沿いのベンチで、子どもがアイスを食べている。バニラ。あたりは鳩だらけだ。最初は離れていたのに、コーンをちびちびかじる間に、じりじりと間合いを詰めてくる。十歩、五歩、三歩。人間だったらもう肩を抱かれている距離だ。子どもは知らん顔で、最後のひと口まできっちり自分のものにした。泣きもしないし、鳩を追い払おうともしない。海風の中で、ただひたすら淡々と。たいしたものだ。
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