《九月二十四日》曼珠沙華リャマの影ゆく輪のごとく
同居人の本棚に、泡の動画をＣＤに焼いたものがいくつも並んでいる。再生してみると、ただ泡が生まれては消える、その繰り返しのようだ。いったいどうしてこんなものを集めているのだろうと首をかしげる。けれど考えてみれば、世の中にはほんとうにいろんな趣味がある。泡のはかなさに魅せられる人がいても、おかしくはないのかもしれない。
著者略歴
１９７３北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』（第８回田中裕明賞）、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。
（ヘッダー写真：小津夜景）
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