
《十一月十六日》秋薔薇やめきめきと鳴る母の胎
散歩に行く。とにかく散歩しないと生きていけない生き物である。このあいだ散歩のしすぎで寝込んだばかりなのに、結局一日休んだだけでまた歩いている。外気に触れていないと胃のあたりがぬめり、脳みそが納豆の糸を引くような感覚がある。魂の裏にうっすら黴が生え、やがて魍魎のようなものがうごめき出す。歩くとそれが乾く。散歩とは脳と内臓の風干しである。
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散歩に行く。とにかく散歩しないと生きていけない生き物である。このあいだ散歩のしすぎで寝込んだばかりなのに、結局一日休んだだけでまた歩いている。外気に触れていないと胃のあたりがぬめり、脳みそが納豆の糸を引くような感覚がある。魂の裏にうっすら黴が生え、やがて魍魎のようなものがうごめき出す。歩くとそれが乾く。散歩とは脳と内臓の風干しである。
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