《十一月十七日》南瓜切るときの静けさそれでよし
本日、未知のレコード屋へ突入した。鰻の寝床よろしく細長い店で、壁という壁が盤で埋まっていた。通路は人ひとり通るのがやっとで、床にもレコードが溢れていた。店主は無口で、代わりに店主の相棒とおぼしき老犬がわたしの相手をしてくれた。レ・ディアブロタンというグループのアルバムを買った。ハイライフとルンバがまざりあって、都会の昼下がりって感じの音楽。
著者略歴
１９７３北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』（第８回田中裕明賞）、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。
（ヘッダー写真：小津夜景）
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