
《十一月十九日》おめかづら噛む歯のあひだから太陽
イヤホンをした通り掛かりの人のリュックが肩にあたった。痛くはなかったけど、けっこうな衝撃だった。こちらが立ち止まって振り返ると、相手は聞こえぬ音楽に包まれて消えた。世界に背を向けたまま、音の泡の中で泳いでいるようだった。こんなふうに人とぶつかるのは久しぶりで、なんかぱっと目が覚めた。世界の側から「おい、起きてるか」と声をかけられたような感じだった。
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イヤホンをした通り掛かりの人のリュックが肩にあたった。痛くはなかったけど、けっこうな衝撃だった。こちらが立ち止まって振り返ると、相手は聞こえぬ音楽に包まれて消えた。世界に背を向けたまま、音の泡の中で泳いでいるようだった。こんなふうに人とぶつかるのは久しぶりで、なんかぱっと目が覚めた。世界の側から「おい、起きてるか」と声をかけられたような感じだった。
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