《十二月六日》ねずみもちひとは名づけるのが上手

ねずみもちという植物の名前を調べてみたら、どうやらその黒く小さな実がネズミの糞に似ているから「ねずみ」、葉がモチノキに似ているから「もち」なのだという。おお。なんて適当な。けれど、そんなふうに無頓着な名前をつけられても、ねずみもちは静かに枝をのばし、季節が来れば花を咲かせ、実をつけるのだ。名なんて気にせず、自分の時間をちゃんと生きている。えらい。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 12月6日:ねずみもちひとは名づけるのが上手
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  • 12月4日:扉絵のごとき静けさ冬の家
  • 12月3日:枯蔦のくるんとしたとこ好きになる
  • 12月2日:落葉ふわっと乗っかってくる上目づかい
  • 12月1日:狐火が遠くて今日の皿が割れ

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