《十二月八日》炬燵から出ずに謝る午後三時

床に座るのがどうにも苦手で、こたつとは相性がわるい。椅子のほうが好きだけれど、椅子もなければないで、まあ立っていればいいだけだと思っている。電車などでも、とりあえず座らなくちゃ、と思って椅子を探すようなことはない。立っているのが平気になったのは、立ついう状態に疑問を抱かなくなったせいだ。つまり生活習慣。座ろうと意識する前に、立っている私がもう出来上がっている。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 12月8日:炬燵から出ずに謝る午後三時
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  • 12月5日:冬の波ちょっと小走りになる夕
  • 12月4日:扉絵のごとき静けさ冬の家
  • 12月3日:枯蔦のくるんとしたとこ好きになる
  • 12月2日:落葉ふわっと乗っかってくる上目づかい
  • 12月1日:狐火が遠くて今日の皿が割れ

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