
《十二月二十九日》煤払終へて柱に陽が残る
実家に戻るたび、母は着物を減らしたいと言う。母の着物はわたしには裄丈が合わず着られない。お茶を習う近所の子に譲ったり、業者に連絡して色留袖や訪問着を手放したりはしたが、まだ紬が箪笥一棹分残っている。よその家ではどうしているのだろう。畳の上で袖をたたみながら、扱い方に各家の折り合いが出るだろうなと考える。
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実家に戻るたび、母は着物を減らしたいと言う。母の着物はわたしには裄丈が合わず着られない。お茶を習う近所の子に譲ったり、業者に連絡して色留袖や訪問着を手放したりはしたが、まだ紬が箪笥一棹分残っている。よその家ではどうしているのだろう。畳の上で袖をたたみながら、扱い方に各家の折り合いが出るだろうなと考える。
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