
《一月十三日》雲遠く映りて甕に寒の水
近所に「せせらぎ」と称する人工的な小川があり、小川に沿って細長い緑地がある。子どもが小さいときは、スルメを餌にしてザリガニを釣ったりした。寒々と浅く澄んだ流れを覗くと、水底のカワニナが泥をかぶっている。
昭和六年一月十三日の虚子句日記は「牛込見附」とあって「日の当る濠の氷の厚さかな」という句が一句。日が当っていると、厚く氷った濠の面の不透明感が際立つ。こういうことを無造作に詠む虚子の底力に感心する。
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近所に「せせらぎ」と称する人工的な小川があり、小川に沿って細長い緑地がある。子どもが小さいときは、スルメを餌にしてザリガニを釣ったりした。寒々と浅く澄んだ流れを覗くと、水底のカワニナが泥をかぶっている。
昭和六年一月十三日の虚子句日記は「牛込見附」とあって「日の当る濠の氷の厚さかな」という句が一句。日が当っていると、厚く氷った濠の面の不透明感が際立つ。こういうことを無造作に詠む虚子の底力に感心する。
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