《一月二十日》笹鳴や末社末社にカツプ酒

実景で句を作ることが多いが、作った後になってその句の情景が本当にあるかどうか心配になることがある。とある神社の末社にワンカップ大関が供えてあったのを見て一安心。
昭和十六年一月二十日の虚子句日記は「玉藻吟行。鎌倉海浜院」。「海浜院」は往時のサナトリウム。やがてホテルとなった。「網干すや秋千もある冬の浜」は実景だろう。「鞦韆」より「秋千」のほうが句柄に合う。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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  • 1月20日:笹鳴や末社末社にカツプ酒
  • 1月19日:瑞巌寺門前牡蠣の殻が焦げ
  • 1月18日:二三人焼藷買ふの買はぬのと
  • 1月17日:遺構見る我と誰かと冬明るく
  • 1月16日:炉火楽し上へ上へとゆく煙
  • 1月15日:寒鴉扉外れしバスの上
  • 1月14日:どら焼と子どもの顔と春を待つ
  • 1月13日:雲遠く映りて甕に寒の水
  • 1月12日:坐ることなき冬帽の男かな
  • 1月11日:枯芝の松葉の向きのよく揃ふ
  • 1月10日:枯芝に枯木はうすき影をひき
  • 1月9日:寒禽や大きな鳥のただしづか
  • 1月8日:冬空の青きところを白き雲
  • 1月7日:見下ろせばそそり立ちをり霜柱
  • 1月6日:水仙や生々しくて抽象画
  • 1月5日:室咲や司書の立居の気配なく
  • 1月4日:福笑ピカソの女とも違ふ
  • 1月3日:正月や映画に泣いて愚かなる
  • 1月2日:読初や在五業平愚かなる
  • 1月1日:初東風や車掌と車掌一礼す

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