《一月二十五日》探梅やすがれながらに石蕗の花

「はこだて柳家」の「五稜の月」を食う。仙台の「萩の月」と似たタイプだ。包み紙を見ると、製造所は群馬県桐生市の「山久」という会社。どこの誰が作っても美味しければよい。
昭和十年一月二十五日の虚子句日記は「鎌倉俳句会。妙本寺、破苦止堂」。「破苦止堂」は「蛇苦止堂」か。虚子の句は「鉛筆で字を書く音や冬の草」。「冬の草」は取り合せというより有り合せ。見事に無造作だ。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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  • 1月25日:探梅やすがれながらに石蕗の花
  • 1月24日:老人に寄鍋の海老煮えてをり
  • 1月23日:にほどりや小田急古き型が行く
  • 1月22日:ミツキーの耳を噛みをり炬燵の子
  • 1月21日:風花や雲なつかしく吹かれ消え
  • 1月20日:笹鳴や末社末社にカツプ酒
  • 1月19日:瑞巌寺門前牡蠣の殻が焦げ
  • 1月18日:二三人焼藷買ふの買はぬのと
  • 1月17日:遺構見る我と誰かと冬明るく
  • 1月16日:炉火楽し上へ上へとゆく煙
  • 1月15日:寒鴉扉外れしバスの上
  • 1月14日:どら焼と子どもの顔と春を待つ
  • 1月13日:雲遠く映りて甕に寒の水
  • 1月12日:坐ることなき冬帽の男かな
  • 1月11日:枯芝の松葉の向きのよく揃ふ
  • 1月10日:枯芝に枯木はうすき影をひき
  • 1月9日:寒禽や大きな鳥のただしづか
  • 1月8日:冬空の青きところを白き雲
  • 1月7日:見下ろせばそそり立ちをり霜柱
  • 1月6日:水仙や生々しくて抽象画
  • 1月5日:室咲や司書の立居の気配なく
  • 1月4日:福笑ピカソの女とも違ふ
  • 1月3日:正月や映画に泣いて愚かなる
  • 1月2日:読初や在五業平愚かなる
  • 1月1日:初東風や車掌と車掌一礼す

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