《三月三日》すいと出でて何の茎立かと思ふ

在宅勤務日の長男と、夜勤明けの三男を誘って近所の蕎麦屋で昼飯。向かい合って座っていた老婦人二人の卓に大きな海老天が載った鍋焼うどんが運ばれた。老婦人たちは幾度も「美味しそう」と言いながら湯気の立つ鍋を満面の笑顔で眺めている。いい風景だ。
昭和十四年三月三日の虚子句日記は「家庭俳句会 本田あふひ邸」。「苗畠へ大肥柄杓突きながら」。「突きながら」が生き生きとしている。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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  • 3月3日:すいと出でて何の茎立かと思ふ
  • 3月2日:腹減らぬままにもの食ふ春の雲
  • 3月1日:吾がための余寒の土筆摘みにけり

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