《十月二日》革靴に素足の男天高し

実家から見る秋の空は、気持ちよかった。普段は空など見ないのに、秋になると何故か空を見上げることが多くなる。夜空は一年中見ていた。満天の星ではなかったが、くっきりと見えた。夏はさそり座、冬はオリオン座、春秋は北斗七星など目に入って来た。ただ、地上の光が多くなってゆくと、見える星が減ってゆく。寂しいことだった。

●季語=秋高し(秋)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 10月6日:ばつた飛ぶあの子がほしい遊びかな
  • 10月5日:妃の如く翅拡げたる蝗かな
  • 10月4日:菌山いとこもをればはとこをる
  • 10月3日:蛇笏忌の雨粒まとふ日ざしかな
  • 10月2日:革靴に素足の男天高し
  • 10月1日:にはたづみ秋日あふるるまでためる

俳句結社紹介

Twitter