大きな柿の木があった。秋になると甘い柿がとれる。と言っても、自分でとる。柿の木は登ることは、禁じられていた。そこで、竹竿の出番。先を二つに割って竹を挟んで、枝を捻じ曲げる。そうすると枝ごと柿をとることができる。そのままでも食べたが、皮を剥いていた。包丁の使い方もいつの間にやら覚えてしまった。
●季語=柿(秋)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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