二〇〇二年の十一月号から裕明は添削の例を「ゆう」に掲載し始めた。実作に基いて言っておかなければと思ったのだろう。十二月号には私の〈外寝人闇を匂つてゐるばかり〉について「ばかり」で止めるのはステロタイプだと断言し〈外寝人闇の匂ひをかいでをり〉と直した。「『闇の匂ひ』なんて、ちょっと面白くなりました」と喜んでいるのも裕明らしい。
●季語=紫式部(秋)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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