《十月一日(火)》 背伸びして何を見下ろしたきわれかパンパスグラスに見下ろされつつ

私が小さく弱いものであったからこそ、主は私のほうに身をかがめ、ご自身の愛に関する事柄を、密かに教えてくださったのです。

(テレース・マルタン『幼いイエスの聖テレーズ自叙伝 その三つの原稿』ドン・ボスコ社)

著者略歴

大口玲子(おおぐち・りょうこ)

1969年東京都大田区生まれ。宮城県仙台市、石巻市を経て、現在は宮崎県宮崎市在住。1998年、「ナショナリズムの夕立」で第四十四回角川短歌賞受賞。
歌集に『海量ハイリャン』、『東北』、『ひたかみ』、『トリサンナイタ』、『桜の木にのぼる人』、『ザベリオ』、『自由』、歌文集に『セレクション歌人5 大口玲子集』『神のパズル』がある。「心の花」会員。宮崎日日新聞「宮日文芸」短歌欄選者。牧水・短歌甲子園審査員。

 

 

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  • 10月3日:全世界の全不発弾決起して言ふべし「人よ、落ち着きなはれ」
  • 10月2日:繰り返し息子の愚痴を言ひながら夫と食べてゐるカツカレー
  • 10月1日:背伸びして何を見下ろしたきわれかパンパスグラスに見下ろされつつ

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