《十一月十三日》一本の干大根の憂鬱かな

実家に畑があった。大方は母親が管理していた。春には耕しが始まる。冬の間遊び場として踏み固められているので、耕すのには骨が折れる。一度手伝ったが、すぐに手にまめが出来て止めてしまった。冬の初めは大根引が始まる。途中で大根が折れてしまったことも何度か。土がついた大根を洗って干す。こんな体験が俳句作りに生きている。

●季語=大根干す(冬)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 11月14日:飛び来る泥の若しや蓮根掘
  • 11月13日:一本の干大根の憂鬱かな
  • 11月12日:ラグビーの円陣ほどきつつ喚く
  • 11月11日:口論のはての鍋焼饂飩かな
  • 11月10日:己が影先に行かせて麦を蒔く
  • 11月9日:回廊の不器用な風七五三
  • 11月8日:許されずして石蕗の黄を見てをりぬ
  • 11月7日:厠神八手の花の奥の奥
  • 11月6日:雨あとの風はまだらに十夜寺
  • 11月5日:お十夜のまこと黄色き針生姜
  • 11月4日:口切や竹根の節の隆々と
  • 11月3日:千切のキャベツ大盛文化の日
  • 11月2日:山茶花のもう咲いてゐる散つてゐる
  • 11月1日:茶の花へ月光少ないではないか

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