
《八月十六日》刺繍糸千年ほつれ苔の恋
数を色で数える世界を想像する。五は赤く、七は青い。足し算は混色、引き算は脱色だ。九九は色の歌になる。六×八は、たとえば深い藍色と朱の中間のような、名前のない色をしていて、答えを出すたび机の上が微妙に染まる。算数の授業は絵具のにおいがして、計算ミスは色の濁りとして残る。
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数を色で数える世界を想像する。五は赤く、七は青い。足し算は混色、引き算は脱色だ。九九は色の歌になる。六×八は、たとえば深い藍色と朱の中間のような、名前のない色をしていて、答えを出すたび机の上が微妙に染まる。算数の授業は絵具のにおいがして、計算ミスは色の濁りとして残る。
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