《九月五日》蔦の這ふ待合室で靴脱ぐ子

図書館の一階で調べ物をしていたら、吹き抜けの上から紙飛行機が落ちてきた。開くと「やる気がない」とだけ書いてあった。やばい。最高じゃん。すぐさま返事を書いて紙飛行機を折り、飛ばし返したい衝動にかられたが、暑くてやる気がなかったのでやめた。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 9月5日:蔦の這ふ待合室で靴脱ぐ子
  • 9月4日:秋の風ローラー跡を撫でて去る
  • 9月3日:秋高し壁ぬけてゆく水の息
  • 9月2日:陶土揉む背にしみわたる残暑かな
  • 9月1日:トランペット色の浜辺や秋の風

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