
《十月二十八日》小鳥といふにはあまりにも濡れてゐて
部屋の置き時計の秒針の音が、ふいに大きくなることがある。いつもは耳のはしをかすめもしない小さな音なのに、そのときは部屋の真ん中に立ちあがってしまう。カチ、カチ、カチ、カチ。靴音のようだ。時間が進んでいくのを、こうやって聞かされるのは不思議で、それは心臓の音を自分で聞いてしまうときに、とても似ている。
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部屋の置き時計の秒針の音が、ふいに大きくなることがある。いつもは耳のはしをかすめもしない小さな音なのに、そのときは部屋の真ん中に立ちあがってしまう。カチ、カチ、カチ、カチ。靴音のようだ。時間が進んでいくのを、こうやって聞かされるのは不思議で、それは心臓の音を自分で聞いてしまうときに、とても似ている。
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