
《一月二十六日》冬帽子ふるさとに用なかりけり
昭和六年生まれの父は帽子が好きだった。近所のスーパーに菓子を買いにゆくときも、寒い季節はあたたかそうな帽子をかぶった。四年前、九十一歳の誕生日を目前に急逝したが、棺の中の姿はお決まりの死装束ではなく、お気に入りのジャケットを着て帽子をかぶった、すこしお洒落な仏様だった。
昭和六年一月二十六日の虚子句日記は「玉藻句会」で「弔ひのあるたび出づる冬籠」。不景気な句だが、真実だ。
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昭和六年生まれの父は帽子が好きだった。近所のスーパーに菓子を買いにゆくときも、寒い季節はあたたかそうな帽子をかぶった。四年前、九十一歳の誕生日を目前に急逝したが、棺の中の姿はお決まりの死装束ではなく、お気に入りのジャケットを着て帽子をかぶった、すこしお洒落な仏様だった。
昭和六年一月二十六日の虚子句日記は「玉藻句会」で「弔ひのあるたび出づる冬籠」。不景気な句だが、真実だ。
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