《二月二十八日》菜の花や夜風に月の明るくて

東大俳句会の学生さんたちと秩父へ行き、句会。私の日程の都合に配慮してもらったため、早い時期の春合宿となった。もうしわけなし。
昭和三十四年二月二十八日の虚子句日記は「如月会(三輪田) 和光」。「以下五句句帖より」と注記があって「灯をともす指の間の春の闇」。この一か月後に虚子は脳出血で倒れ、四月八日に亡くなった。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 2月28日:菜の花や夜風に月の明るくて
  • 2月27日:ひつそりと住み沈丁の花硬く
  • 2月26日:草餅はつぶ餡なりし大師堂
  • 2月25日:漁港あり遊ぶが如き春の鴨
  • 2月24日:椿赤く銚子電鉄窓開いて
  • 2月23日:他の雲を翳らす雲や猫柳
  • 2月22日:手の甲に梅の影あり雲が伸び
  • 2月21日:二つあり一つ消えつつ春の雲
  • 2月20日:幹を撫で頭のうへに梅の花
  • 2月19日:薄氷のとぎれとぎれや木の葉浮く
  • 2月18日:うたかたの影ある石や春の水
  • 2月17日:草萌や常の如くに海と崖
  • 2月16日:春の雪白き碍子につきて消ゆ
  • 2月15日:こときれし鼻の孔ある涅槃かな
  • 2月14日:梅散るや中はがらんと古き家
  • 2月13日:シヤーロツクホームズ春の土を嗅ぐ
  • 2月12日:春宵や酒のまぬ子に甘き豆
  • 2月11日:風に人よろめく春の鳶かな
  • 2月10日:草の餅柔らかさうに重さうに
  • 2月9日:梅折つて挿してダンボールに暮らす
  • 2月8日:富士聳え春の光が枯草に
  • 2月7日:春や鯉おほきな鱗見えて過ぐ
  • 2月6日:日の暮は日々夕茜草萌ゆる
  • 2月5日:雪解や撞くがままなる寺の鐘
  • 2月4日:白々と枯れたるものや寒明くる
  • 2月3日:出口より出てゆく鬼や豆を撒く
  • 2月2日:大根を箱根の山に干しにけり
  • 2月1日:名物がおでんなりとや町淋し

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