《九月二日》病む人の名札それぞれ蚯蚓鳴く

飯田橋界隈で題詠の句会。
昭和三十二年九月二日の虚子句日記は「大久保橙青主宰、唐沢樹子法務大臣就任祝賀会 鎌倉和光」。「天の川雨戸の外にかゝりけり」はこのときの吟。「長き夜や襖隔てゝ話しかけ」と「長き夜やその頃のこと子規のこと」が並ぶ。虚子は八十三歳。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 9月15日:藤の実のほのと毛深し人に垂れ
  • 9月14日:秋風や骸も混じる団子虫
  • 9月13日:頭尖るバツタやかなしさうに這ふ
  • 9月12日:秋蒔や汗の帽子を風に脱ぎ
  • 9月11日:秋晴の蝶々のただ集まれる
  • 9月10日:秋の夜の古く明るきレストラン
  • 9月9日:秋風や噛みてうれしき佐渡の米
  • 9月8日:秋桜断種の猫に日があたり
  • 9月7日:仁丹のやうなピアスや月を仰ぐ
  • 9月6日:歯科の中見えてつくつく法師かな
  • 9月5日:新涼やパジヤマを干して雲白く
  • 9月4日:からあげと書いて唐揚初嵐
  • 9月3日:阿佐谷は夜も明るし桃を売る
  • 9月2日:病む人の名札それぞれ蚯蚓鳴く
  • 9月1日:美しきまま虫籠の古びたる

俳句結社紹介

ふらんす堂編集日記