《十一月二十一日》落葉籠どこに置きても傾ぎたる

子供のころは、落葉を集めて焚火をしたものだった。今は簡単にはできなくなっているが、昔は大人がよくしてくれていた。集めた落葉の処分もあったろうが、そこで藷を焼くという目論見もあったようだ。真っ黒になった藷を取り出し、皮を剥くとほっこりとした黄色い焼藷が出て来る。間違いなくおいしい。剥いた皮は火の中に投げ込んだ。

●季語=落葉(冬)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 11月21日:落葉籠どこに置きても傾ぎたる
  • 11月20日:ピロシキの中の明るさ冬紅葉
  • 11月19日:オルガンのあまき鍵盤帰り花
  • 11月18日:青写真うつらうつらと水おもて
  • 11月17日:冬ぬくし切口白き海老フライ
  • 11月16日:歯車を回す歯車小六月
  • 11月15日:茎漬や昔色なる筧竹
  • 11月14日:飛び来る泥の若しや蓮根掘
  • 11月13日:一本の干大根の憂鬱かな
  • 11月12日:ラグビーの円陣ほどきつつ喚く
  • 11月11日:口論のはての鍋焼饂飩かな
  • 11月10日:己が影先に行かせて麦を蒔く
  • 11月9日:回廊の不器用な風七五三
  • 11月8日:許されずして石蕗の黄を見てをりぬ
  • 11月7日:厠神八手の花の奥の奥
  • 11月6日:雨あとの風はまだらに十夜寺
  • 11月5日:お十夜のまこと黄色き針生姜
  • 11月4日:口切や竹根の節の隆々と
  • 11月3日:千切のキャベツ大盛文化の日
  • 11月2日:山茶花のもう咲いてゐる散つてゐる
  • 11月1日:茶の花へ月光少ないではないか

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