父は、煙草を吸っていた。缶入りのピースだ。丸い缶にびっしり詰まったピースの白色は鮮明に覚えている。缶の匂いも。憧れはあったが、煙草を吸ったことはない。部活の顧問に「走るんやったら、煙草はあかんな」と言われたから。先日、中学時代の友達からバーで葉巻を勧められた。もちろん、丁寧に断った。
●季語=時雨(冬)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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