「ゆう」二〇〇三年の六月号の「風景点描」で〈一輪車漕ぐ子が一人花薺〉を添削している。さて、裕明はどうしたか。まず「この句の場合、一人はかなで書いたほうが自然です」と。続いて「一句の中で一といふ字が二つあるのも少し気になります」とし〈一輪車漕ぐ子がひとり花薺〉としている。裕明の平仮名表記の判断のひとつが解き明かされている。
●季語=顔見世(冬)
著者略歴
山口昭男(やまぐち・あきお)
1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。
「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞)
『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員
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