《十二月四日》鳰寝ねたる水を起こしたる

「例えば芒原へ行く道で一人の老婆に出合ったとしますね。今の目の前の芒ばかりをただ丹念に写生しているだけじゃあなくて、さっき出合った老婆から伝播されて起こったいろんなイマジネーションをフルに働かせて、そう言う豊かな連想をも働かして作るという事」という爽波の言葉(一九六二年「青」十二月号)。吟行での人との出会いから連想へ。これもチャレンジ。

●季語=鳰(冬)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

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バックナンバー

  • 12月5日:初雪のまことに空のにほひかな
  • 12月4日:鳰寝ねたる水を起こしたる
  • 12月3日:水鳥のまぶしきまでにふえてをり
  • 12月2日:顔見世へ橋一本を渡りゆく
  • 12月1日:梟の如く女を待つてゐる

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