《十二月五日》初雪のまことに空のにほひかな

雪が降るとなぜか嬉しかったのが、子供時代。初雪ともなれば、なおさらだった。ただ、この雪は積もらない。あっという間に止んでしまう。それでも雪空や雪に隠れている山並を見るのは好きだった。雪が降ると周りの音が消えてしまうというのもまた、不思議だった。

●季語=初雪(冬)

著者略歴

山口昭男(やまぐち・あきお)

1955年兵庫県生まれ。波多野爽波、田中裕明に師事。 「秋草」主宰。句集に『書信』『讀本』『木簡』(第69回読売文学賞) 『礫』、著書に『言葉の力を鍛える俳句の授業―ワンランク上の俳句を目指して』『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 山口昭男』『波多野爽波の百句』がある。日本文藝家協会会員

 

 

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 12月5日:初雪のまことに空のにほひかな
  • 12月4日:鳰寝ねたる水を起こしたる
  • 12月3日:水鳥のまぶしきまでにふえてをり
  • 12月2日:顔見世へ橋一本を渡りゆく
  • 12月1日:梟の如く女を待つてゐる

俳句結社紹介

Twitter