《一月七日》不確かの我確かむる或は言ふ我を鎮むるけだし鎮魂たまふり
折口説の忘れられない一つに叙景鎮魂説がある。旅人が旅先でのあくがれやまぬ己が魂を鎮めるべく、眼前の風景を鎮めることで土地の霊を鎮め、自らの魂を鎮める。誤解を怖れず言えば、そういうことではなかったか。
著者略歴
高橋睦郎(たかはし・むつお)
昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。
詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。
歌集に『道饗』、『爾比麻久良にひまくら』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)
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