《四月七日》海拍かいはくにわが心拍の遅るるを加齢と思へ加齢日に

ソクラテスやプラトンが活動したアテナイの中心は海のあるピレウス港からはやや距離がある。しかし、アクロポリスから海は見えるし、その拍動は彼らの拍動に深い影響を与えたのだ、と勝手に思っている。海の拍動の力を貰うために汀に沿う歩行は欠かせない。加齢を重ねればなおさらに。

著者略歴

高橋睦郎(たかはし・むつお)

昭和12年12月15日、北九州八幡に生まれる。少年時代より詩、短歌、俳句、散文を併作。のち、新作能、狂言、淨瑠璃、オペラ臺本などを加へる傍ら、古典文藝、藝能の再見を続ける。 詩集『王国の構造』(藤村記念歴程賞)、句歌集『稽古飲食』(読売文学賞)、詩集『兎の庭』(高見順賞)、『旅の絵』(現代詩花椿賞)、『姉の島』(詩歌文学館賞)、『永遠まで』(現代詩人賞)、句集『十年』(蛇笏賞、俳句四季大賞)。 歌集に『道饗』、『爾比麻久良にひまくら』、『虚音集』、『待たな終末』、『狂はば如何に』など。 藝術院會員。2024年に文化勲章受章。 (Photo : Jorgen Axelvall)

 

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  • 4月8日:海拍に遅るまじとて杖を持つ己励まし打つ笞づゑ
  • 4月7日:海拍にわが心拍の遅るるを加齢と思へ加齢日に夕に
  • 4月6日:寄せ返す海の拍をば心拍と重ね生き来しわが四十とせか
  • 4月5日:寄せ返す汀に沿へるわが歩み三十とせを超え四十とせ近き
  • 4月4日:家出でて路を下ればそこに海飽きず寄せては返す穏波
  • 4月3日:海の辺ゆ海の辺へ帰り来し我か海への思ひ・怖れこもごも
  • 4月2日:文字が関なれば前なる狭き海も硯の海と呼び親しみき
  • 4月1日:字大里すなはち内裏大内を畏み大き里を当てしか

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