
《六月九日》打ち水やあとさき湾る下駄のこゑ
めくる。最初のページは真っ白だ。まぶしいほどに。光の加減かもしれない。その白の裏側に、もやもやした染みがあった。虫でもいるのかと思った。においもした。湿布みたいな、古い香水みたいな、封を切った薬草茶みたいな、そんなにおい。
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めくる。最初のページは真っ白だ。まぶしいほどに。光の加減かもしれない。その白の裏側に、もやもやした染みがあった。虫でもいるのかと思った。においもした。湿布みたいな、古い香水みたいな、封を切った薬草茶みたいな、そんなにおい。
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