
《七月二十六日》もう誰も栖まぬ基地なり月に苔
浜辺には、なんだかんだで、子どもが多い。家をつくっているのだ。釘もロープも使わない。流木を組み合わせるだけで、そこに「住まい」の形が立ち上がる。
屋根を支えるのは、太く、白く削られた、一本の骨のような木。壁らしき部分には、貝殻をつないだ紐が吊ってあったりして、風が吹くと、ちょっと音がする。
それは、家というより、家に似た気配だった。子どもたちは、そこにしばらくいて、いつのまにかいなくなる。嵐が来たら、たぶん崩れる。けれど、それを知っていて、やめたりしない。
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