
《七月二十七日》青嵐呼べど返事の来ぬ世界
一度すれ違っただけの人が、なぜかずっと残ってる。毎日見てた風景より、たった一度の通り雨みたいな記憶が、やけに濃い。そういうのって、部屋のすみにたまる塵みたいなもんだ。放っといたら、そこに時間が棲みついてる。生まれるのも死ぬのも、広い目で見れば、塵ひとつ分。ため息をつくと、塵が舞う。その瞬間だけ、時間が揺れる。掃除しないで残しておいた埃のなかから、ふと何かを思い出す。忘れていた、でも、ずっとあった何かを。
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一度すれ違っただけの人が、なぜかずっと残ってる。毎日見てた風景より、たった一度の通り雨みたいな記憶が、やけに濃い。そういうのって、部屋のすみにたまる塵みたいなもんだ。放っといたら、そこに時間が棲みついてる。生まれるのも死ぬのも、広い目で見れば、塵ひとつ分。ため息をつくと、塵が舞う。その瞬間だけ、時間が揺れる。掃除しないで残しておいた埃のなかから、ふと何かを思い出す。忘れていた、でも、ずっとあった何かを。
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