
《七月三十日》ひと息を水にのこして櫂涼し
しゃべるとき、ことばは液体に似ている。音とリズムに乗って流れ出し、内容はすぐ蒸発する。多少意味がずれても、表情や声色で補正できる。
対して、書くことばは固体だ。時間をかけて整形されるが、いったん定着すれば変更がきかない。
しゃべる=熱運動、書く=結晶構造。両者の間には相転移のような非連続がある。私はその断層にしばしばつまずき、こぼれ落ちた意味の残骸を、ひとつずつ拾っている。
無断転載・複製禁止
しゃべるとき、ことばは液体に似ている。音とリズムに乗って流れ出し、内容はすぐ蒸発する。多少意味がずれても、表情や声色で補正できる。
対して、書くことばは固体だ。時間をかけて整形されるが、いったん定着すれば変更がきかない。
しゃべる=熱運動、書く=結晶構造。両者の間には相転移のような非連続がある。私はその断層にしばしばつまずき、こぼれ落ちた意味の残骸を、ひとつずつ拾っている。
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