《十二月七日》寒昴みづのゆらぎの底までも

碁を覚えたのは小学生のころだ。父が持っていた五巻セットの教本を暇に飽かして眺めていたのが始まりである。各章の最後に付いている「ちょっと考えてみよう」という問題がどうにも性に合わず、「めんどくさいことを聞くな」とぶつぶついいながらも、なぜか毎回きちんと解いていた。よほど時間がありあまっていたのだろう。

著者略歴

小津夜景(おづ・やけい)

1973北海道生まれ。句集に『フワラーズ・カンフー』(第8回田中裕明賞)、『花と夜盗』。エッセイ集に『カモメの日の読書』『いつかたこぶねになる日』『ロゴスと巻貝』。そのほか、ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者須藤岳史との往復書簡『なしのたわむれ 古典と古楽をめぐる手紙』。現在『すばる』で「空耳放浪記」連載中。

(ヘッダー写真:小津夜景)

 

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バックナンバー

  • 12月7日:寒昴みづのゆらぎの底までも
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  • 12月4日:扉絵のごとき静けさ冬の家
  • 12月3日:枯蔦のくるんとしたとこ好きになる
  • 12月2日:落葉ふわっと乗っかってくる上目づかい
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