《二月七日》春や鯉おほきな鱗見えて過ぐ

車椅子の若い女性が交差点を渡ろうとしていた。無事渡り終えるまで見届けた。何かの本に、手助けされる人に負い目を感じさせず、さりげなく見守るのが英国紳士だと書いてあった。それよりも積極的に声をかけて手伝ったほうが、人の心をあたたかくするに違いない。
昭和二十三年二月七日の虚子句日記は「素十、占魚来。高木夫婦来」とあって「客待たせ心置きなく昼寝かな」。二月に「昼寝」を詠む虚子先生。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 2月7日:春や鯉おほきな鱗見えて過ぐ
  • 2月6日:日の暮は日々夕茜草萌ゆる
  • 2月5日:雪解や撞くがままなる寺の鐘
  • 2月4日:白々と枯れたるものや寒明くる
  • 2月3日:出口より出てゆく鬼や豆を撒く
  • 2月2日:大根を箱根の山に干しにけり
  • 2月1日:名物がおでんなりとや町淋し

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