《五月二十四日》夏蝶よ我が手の甲を吻もて突く

女川港から船で金華山神社に参拝。帰路、塩竈に立ち寄り、渡辺誠一郎さんと懇談。
昭和二十九年五月二十四日の虚子句日記は「句謡会 茂木壽恵子追悼 北鎌倉、好々亭」。「麦笛を吹き墓場過ぎ妹許へ」。八十歳の虚子の想像力が生み出した小説の一場面のような句だ。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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  • 5月24日:夏蝶よ我が手の甲を吻もて突く
  • 5月23日:坐す人のうしろは壁や堂涼し
  • 5月22日:黒南風に葛這ふ岸の蛇籠かな
  • 5月21日:心太紙幣で払うて祖父やさし
  • 5月20日:浜木綿やともしび暗きとんかつ屋
  • 5月19日:風鈴やあるとき何もかも消えて
  • 5月18日:風鈴を扇ぎ鳴らして遊びけり
  • 5月17日:蠅帳の中に二皿窓明り
  • 5月16日:蝶とまる青き簾のこちら側
  • 5月15日:百合赤し鯉の生簀にそそぐ水
  • 5月14日:緑蔭やくはへし飴の棒長く
  • 5月13日:十字架は縦に長くて青嵐
  • 5月12日:卯の花の花粉黄色し人につく
  • 5月11日:山中や老いたるあやめ花を垂れ
  • 5月10日:白玉のつめたさ残る匙を置く
  • 5月9日:ふさふさの髪の毛見えて夏帽子
  • 5月8日:墓にふと捩り花あり雲明るく
  • 5月7日:ぽつねんと居るや西日に前を向き
  • 5月6日:夕虹やもやし炒めを火がつつみ
  • 5月5日:遠き木の古巣見えたり雲まれに
  • 5月4日:鐘鳴つて五時は明るき接木かな
  • 5月3日:石鹸玉ごみ食ふ鳩に幸あれと
  • 5月2日:鉄の柵錆びてぐらぐら百千鳥
  • 5月1日:素甘あり桜餅より大いなる

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