《八月十日》広々と硝子障子や秋の蝶

寺田寅彦の俳論をいくつか読む。
昭和二十一年八月十日の虚子句日記は「稽古会、第二日」。終戦の翌年の小諸の虚子庵で句会を重ねている。「くさ〱の稔りに入りし残暑かな」「雲の峯立ちつ崩れつ秋の風」「この頃は常に神鳴る山家かな」など句柄の大きい句に混じって「食らひたる西瓜の殻の盆を引け」という句があるのが嬉しい。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

無断転載・複製禁止

バックナンバー

  • 8月10日:広々と硝子障子や秋の蝶
  • 8月9日:遠くしづかに法師蟬鉦叩
  • 8月8日:麺麭食うて頬ふくらます夜食かな
  • 8月7日:秋の日の香水はやや甘き香に
  • 8月6日:夕空の暗さを蠅の眼かな
  • 8月5日:この町の朝の片陰登庁す
  • 8月4日:日盛や土に影して軒簾
  • 8月3日:雲うすうす避暑の子どもら匙つかふ
  • 8月2日:終点の町や頭上の雲の峰
  • 8月1日:橋をゆく日除下げたる冷房車

俳句結社紹介

Twitter