《十月二十五日》音立てて歩く露けき家の中

鎌倉方面にて吟行、句会。稲村ケ崎の和食どころであら煮の定食を食べる。
昭和九年十月二十五日の虚子句日記は「丸之内倶楽部俳句会」。「立ち出でゝ四方の眺の柹の秋」と「しみ〲と衣袂に染みぬ放屁虫」。「立ち出でゝ四方の眺」と「柿の秋」とは落差の小さい俳味。「しみ〲と衣袂に染みぬ」の後の「放屁虫」は落差の大きい俳味だ。放屁虫が放った液体が衣服に付着したのだろう。

著者略歴

岸本尚毅(きしもと・なおき)

1961年岡山県生。著書に『文豪と俳句』『露月百句』、編著『室生犀星俳句集』『新編
虚子自伝』など。岩手日報・山陽新聞俳壇選者、角川俳句賞選考委員。

 

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バックナンバー

  • 10月25日:音立てて歩く露けき家の中
  • 10月24日:山と積みし空缶を曳く秋の暮
  • 10月23日:秋風に肋骨長き化石かな
  • 10月22日:秋雨や彼の胸像肩丸く
  • 10月21日:芋虫の葉にはりついて食はずをり
  • 10月20日:かりがねや最中にかはく口の中
  • 10月19日:秋の風少しつよくて月明り
  • 10月18日:遊説や頭の上を草の絮
  • 10月17日:手を垂れて菊人形の驚ける
  • 10月16日:ころがつてゐる冬瓜の暮れにけり
  • 10月15日:宿直のすこしのむ酒きりぎりす
  • 10月14日:カンナ咲くこの寺塀も門もなく
  • 10月13日:北京秋天焼売売りの周さんに
  • 10月12日:町外れなるアパートの秋簾
  • 10月11日:掛稲の風上にゐて風つよし
  • 10月10日:帽に風運動会の歌チャチャチャ
  • 10月9日:月に旗垂れて運動会前夜
  • 10月8日:首すこし長くて亀や水の秋
  • 10月7日:秋の日や飛行機見えて人歩く
  • 10月6日:浮かぶ葉に寄るあめんぼや秋旱
  • 10月5日:出港や手にとるやうに秋の雲
  • 10月4日:海の辺や青き芝生に赤蜻蛉
  • 10月3日:王冠に似て荒涼と秋薊
  • 10月2日:糸瓜見て勉強部屋に暮らしけり
  • 10月1日:ふりかけをかけて夜食や警備員

俳句結社紹介

ふらんす堂編集日記